NUMBER79 作家・LiLyさんの胸が高鳴るファンデのお話って?NUMBER79 作家・LiLyさんの胸が高鳴るファンデのお話って?

ファンデを肌に塗る時間そのものを、
愛する方法。

鏡のついた丸いコンパクトを手に、ふんわりしたパフをもう片方の手に。
お化粧をする行為そのものに憧れ抜いた少女時代を経て、女になり、恋をして母になり————。

気づけば、鏡と向き合う時間そのものが苦痛になっていた時期がある。
30代前半。二人の赤子の世話と仕事に追われ続け、自分自身をきれいに保つ余裕は皆無。
「冴えないスッピンを鏡にうつし、顔の欠点をカバーするためにファンデを塗る」。
ネガティブ要素が詰まったその行為の中には、楽しみも楽しさも一つもない。はい、鏡を見るのをやめた。

赤子だった二人が小学生になった今、初めてお化粧をした中学生みたいな胸の高鳴りとともに鏡台の前に座る自分がいる。

20代の頃の自分と比べて「ブスになった」と鏡を見るたびにうんざりしていた30代前半から、美容を放置していた当時の自分と比べて「きれいになった」と鏡を見るたびに嬉しく思う30代後半へ。

オトナの女は手をかければかけたぶんだけ蘇る!育児に余裕がうまれたら、今度はもっときれいになりたいなぁ、なんてことを再び思っている自分がなんだか面白い。
(女って、人生のステージごとに頭の中がコロコロ変わって忙しい)。
そんなことを思っていたら、仕事で知り合ったメイクアップアーティストが教えてくれた。

「欠点をカバーするという考え方ではなく、自分の顔のチャームポイントをメイクでもっと引き立てるのよ!」

目から鱗。それ以来、メイクに対する考えそのものがポジティブなものへと一気に逆転。
肌は、顔のベース。頰のソバカスすら愛おしく思いながらも全体のトーンをファンデであげる。
ツヤもこっそりプラスする。そう思って鏡と向き合っていると、どうだろう。ハッピーでしかない時間になる。

鏡のついた丸いコンパクトを手に、ふんわりしたパフをもう片方の手に。37歳。
メイクタイムで心が満ちる。女としての旬は、ここからなんだろうなぁってことまで思ってワクワクしてる。

<著者コメント / メッセージ>
化粧を一切しなかった時期の真冬、電動チャリで子供の送迎をしていたら肌がびっくりするほどガサガサに。
ファンデは肌を守るんだなぁと体感したエピソードをここに添えておきます。

この記事の回答者

LiLy

作家

回答者プロフィール

1981年神奈川県生まれ。
N.Y.、フロリダでの海外生活を経て上智大学卒。20代の恋愛観を赤裸々に綴ったエッセイでデビュー。
『VERY』『Numero TOKYO』『オトナミューズ』などファッション誌にて小説、エッセイ連載多数。
最新刊は『目もと隠して、オトナのはなし』(宝島社)
インスタグラム @lilylilylilycom

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